DXFとは
AUTO−CAD
DXFを語るには、AUTO−CADから語る必要があります。
AUTO−CADは、アメリカで開発されたCADであり、
日本でも建設業界では標準CADと言われるくらい普及しています。
ただし、各人が使い易いようにカスタマイズして使うCADであり、
本体だけでは、使いこなすのが困難です。
(私も、LT2000を持っていますが、全く使っていません)
また、バージョンアップされる度に、新しいデータ形式が加わり、
上位互換にはなっていますが、下位互換にはなっていません。
DXFファイル
そこで、下位バージョンのAUTO−CADでも開けるファイル形式が
考えだされました。
それがDXFファイルであり、現在下記の11種類が使われています。
R12 (LT2)
R13 (LT95)
R14 (LT97 LT98)
2000 (LT2000)
2000i (LT2000i)
2002 (LT2002)
2004 (LT2004)
2005 (LT2005)
2006 (LT2006)
2007 (LT2007)
2008 (LT2008)
DXF形式の流用
この世の中には、たくさんのCADがありますので、
当然、CAD間のデータの引渡しをどうするかという問題が発生します。
幸い、DXF形式というものがあり、コードがオープンにされていましたので、
皆これを中間ファイル形式として利用するようになった訳です。
しかし、各CADメーカーが勝手に利用しているだけであり、
また、CADによって扱っているデータの種類も構造も異なっていますので、
100%の互換性がある訳ではありません。
実際、縮尺化け 線化け 文字化け 色化け データ抜け等が、
必ず起こります。
JWC形式の活用
日本では、JW−CADのデータ形式であるJWCが、もうひとつの標準です。
このJWCデータは、JW−CAD JW−Win はもちろん、
HO−CADをはじめ多くのCADが扱えます。
この形式は、当初から変更されていませんので、相手CADがJWCを扱えるなら、
こちらの方がDXFよりもSXFよりも確実です。
ただし、線種は9種類まで 文字種は10種類まで 色は6種類まで 等、
多くの制約があり、これもまた100%互換性がある訳ではありません。
従って、作図するCADでは、JWCで扱っているデータの範囲で作図することが
大切になります。
SXF形式の活用
確実なデータ交換のために、新しいファイル形式が考えだされました。
それが、ISO国際規格STEP/AP202に準拠したSXF形式であり、
日本の国土交通省では、この形式に限定しています。
なお、HO−CADは、V2.40から扱えるようになりましたし、
Paoは、これへの100%互換を目指しています。
また、JW−WinもJacConvertも、扱えるようになりました。
今後は、この形式に移行し、DXFは使用されなくなります。
DXF−DXFコンバータの活用
HO−CADで出力したDXFファイルは、一番単純なR12形式になりますので、
DXFを扱える全てのCADで、問題なく開けると思います。
しかし、HO−CADが開けるDXFファイルは、R12形式に限られますので、
支給されたDXFファイルを開く場合は、多くの問題が発生します。
そこで、支給されたDXFファイルを、HO−CADが開くことのできるDXF
形式に変換してくれるコンバータが必要になります。
それが、AJ−DXF(フリーウエア DOS版 開発終了)であり、
JacConvert(シェアウエア Win版 AJ-DXFの後継版)です。
HO−CAD と AUTO−CAD の相違点
HO−CADとAUTO−CADでは、考え方にも扱えるデータの種類にも
多くの違いがあります。
「CADとデータ」で、CADによるデータの違いについて
まとめてありますので覗いてみて下さい。
DXFファイルを入手する時の注意点
支給してもらうDXFは、できるだけ新しいバージョンが良いと思います。
JacConvertは、JWCで開くことを目的に作られていますので、
よりトラブルが少なくなると期待できるからです。
Jacコンバータでのファイル変換は、2つの方法が考えられます。
ひとつはDXFに変換する方法、もうひとつはJWCに変換する方法です。
どちらが良いかは判りませんが、
まずJWCで試してみて、
もし不具合があったらDXFを試してみる、
という方法でよいのではないでしょうか。
但しこのようにしても、まだかなりの問題が発生する可能性があることを
覚悟しておく必要があります。
HO−CADでDXFファイルを読み込む時の注意点
もし、JacConvertは使ったが、
JWC変換ではダメだった、
DXF変換もうまくなかった、
となれば、あとはテクニックでカバーするしかありません。
考えられるトラブルと、それに対する対処方法は、下記の通りです。
図面を開けない1
フォルダ名及び図面名にスペースが使われていると、開くことが出来ません。
その時は、フォルダ名及び図面名のスペースを削除します。
図面を開けない2
グリッドを5mmに設定したまま、1/100のように縮尺の大きな図面を開くと、
グリッドのデータだけでも膨大になるため、読込に3分も4分も時間がかかります。
従って、図面を開く時は、無題図面に切り替え、
グリッド間隔を正しく(500とか1000とか)してから開きます。
図面サイズを正しく設定する
DXFは原寸で描かれており、縮尺がありません。
そこで、HO−CADは、図面サイズとデータ範囲を元に、縮尺を計算します。
よって、DXFを開く時には必ず、画面の図面サイズを正しくしておきます。
もし、正しい縮尺で開かれない場合は、次を試してください。
1 無題画面で1サイズ上(A1を開きたい時はA0)の用紙を設定する
2 一旦HO−CADを閉じる(レジストリに書き込むため)
3 HO−CADを起動し、DXF図面を読み込む
4 用紙サイズを正しくする(A0をA1に戻す)
開いた図面が表示されない
DXFを開くと、表示画面以外の、とんでもない所に開かれる場合があります。
この場合、開かれた図面と反対の位置に、ゴミデータがある可能性があります。
よって、範囲外選択を使ってゴミデータを削除し,DXFのまま上書き保存し、
あらためて開き直します。
(このゴミの問題は、縮尺の再現にも関係します)
文字サイズを合わせる1
shxフォントの大きさは、TTフォントより大きくなっています。
また、shxフォントの半角文字は、全角文字とほとんど変わりません。
よって、TTフォントにしか対応していないHO−CADで、shxフォントに
対応するためには工夫が必要です。
つまり、起動環境設定の文字の大きさを変えるとか、
JacConvertで、文字の大きさを変える(2%単位)とか、
半角文字は、スペースを取るとか、
半角文字を、全角に替えてしまうとか、しなければなりません。
文字サイズを合わせる2
HO−CADで扱える文字種は10種類だけですが、DXFでは制限はありません。
そこで、HO−CADは、似たような文字サイズを、併合してしまいます。
よって、不具合は無いかチェックし、必要な場合は変更します。
文字化けを直す
文字化けや文字抜けがあるかもしれませんので、図面を確認し不具合を直します。
線色を合わせる
1階と2階では、色の使い方がまるで違うということが、普通に起こります。
よって適切な色に変えます。
線化けを直す
線化けや線抜けが無いか確認します。
円弧は特に化け易いようです。
データ抜けを把握する
ソリッド図形 LWポリライン 2線 等は、データの内容が変わってしまいます。
そういうことが起きていないか確認します。
もし、HO−CADで直せない場合は、客先に直してくれるようお願いするしか
方法はありません。
HO−CADで作図する時の注意点
縮尺を統一する
DXFには縮尺という概念がありません。
よって、1枚の図面に異なる縮尺のデータがあると、
正確に変換されません。
(少なくともそういう恐れはあると思います)
よって、このような図面は、むりやり同じ縮尺で作図します。
なお、データの無いレイヤグループの縮尺も、合わせておきます。
レイヤ名の制限
レイヤ名に、半角英数字8文字以内しかつかえないCADがあります。
また、記号も-と_しか使えません。
なお、スペースも使えませんので、_で代用します。
レイヤーグループの使い分け
HO−CADは、グループ1に1階の図面を、グループ2に2階の図面を描き、
印刷はグループ別に行う、ということができます。
しかしDXFファイルには、レイヤーグループという概念はありませんので、
このようなことをすると、1階と2階とを分けられなくなってしまいます。
文字種の設定は単純にする
相手CADでどのように文字化けするかわかりませんので、
縦横の寸法は同じにしておき、文字間隔は0にしておきます。
文字サイズを合わせる
登録図形を貼り付ける場合、文字種番号と文字サイズの対応が合っていないと、
文字の大きさが変わってしまいます。
つまり、支給された図面の起動環境で作図していますので、
その環境の文字サイズに変わってしまうのです。
よって、その場合は、貼り付けた文字サイズを修正します。
なお、この問題は、他の図面からコピーした場合も起こります。
半角文字とshxフォント
shxフォントの半角文字の幅は、全角とあまり変わりありません。
そのため、安易に半角文字を使うと、大幅にはみ出してしまうことがあります。
よって、半角文字を使っているか、相手CADでshxフォントを使っているかを、
図面から判断し、文字幅に注意しながら使わなければなりません。
縦書き文字は使用しない
縦書き文字列は、横書き文字列に変わってしまう場合があります。
文字修飾は行わない
斜体 太字 枠線 下線 均等割付 等を行っても、無視されます。
記号は使用しない
扱っていない記号は、?に変わってしまいます。
キーボード上にある記号だけにするのが無難です。
(AUTO−CADなら、丸 三角 四角 星 も使えますが)
実点は使用しない
実点は、無視されます。
よって、実点の代わりに、小さな円を使う必要があります。
JacConvertでJWC>DXF変換するときに、
実点を円に変換するという方法もあります。
HO−CADでDXF出力する時の注意点
ポリラインは分解する
スプライン曲線 クロソイド曲線 手書き線 はポリラインになっています。
このままでも問題はないと思いますが、念のため、線変更>集合線分解 で、
個々の線に分解します。
なお、矢印 楕円 楕円弧 もポリラインだと思いますが、分解できないようです。
寸法図形は分解する
寸法図形は、ブロック図形です。
従ってこれも念のため、寸法>要素分解で個々の要素に分解します。
不用データは削除する
DXFに変換すると、データ量が3倍位に増えます。
よって、補助線 中心線 等の不要なデータは、削除します。
またできれば、重複線を整理します。
なお、DXF出力する時に、補助線を出力させないことができます。
ゴミデータは削除する
気が付かないうちに、図面範囲外にゴミデータを描いていることがあります。
ゴミデータがあると、このDXFファイルをHO−CADで開く時、
縮尺が合わなくなり苦労します。
よって、範囲外消去を使って、ゴミデータを削除します。
図面名は半角英数字にする
図面名に制限の有るCADがあります。
よって、半角英数字8文字以内にします。
また、記号も基本的に使えません。
なお、スペースもつかってはいけませんので、_で代用します。
これを守らないと、図面を開けない場合があります。