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          原子力発電関係用語集

 

 

原子力

原子の、融合又は分裂により発生する熱エネルギー。

ウラン1グラムが、重油2000リットルに相当する。

用途は、原子爆弾と原子力発電。

同位元素

陽子の数は同じであるが、中性子の数が異なる元素。

中性子の数により、少し性質が異なってくる。

たとえば、同じウランでも、核分裂するものとしないものとがある。

ウラン

原子番号92の金属元素。

天然の元素では、最も原子量が大きい。(原子の質量が大きい。)

科学的毒性は弱い。

ウラン

235

ウランの同位元素のひとつで、核分裂する。

天然ウランには、0.72%しか含まれていない。

90%以上に濃縮したものを原子爆弾(広島)に、

35%に濃縮したものを原子力発電に使用する。

ウラン

238

ウランの同位元素のひとつで、核分裂しない。

天然ウランには、99.275%も含まれている。

比重が約20と非常に重いので、劣化ウラン弾に使用される。

原子炉内で中性子線にさらされると、プルトニウムに変わる。

プルトニウム

原子番号94の金属元素

ウラン鉱石中に、僅かに含まれている。

科学的毒性が、非常に強い。

プルトニウム

239

原子炉内で中性子線にさらされることより、

ウラン238が、プルトニウム239に変わる。

ただし、出来る量は1%位に過ぎない。

核分裂するので、爆弾(長崎)と発電に使用される。

MOX燃料

ウラン238とプルトニウム239を混ぜた燃料。

高速増殖炉でも普通の軽水炉でも使用できる。

なお、ウランを燃料とした普通の軽水炉でも、

自然にできたプルトニウム239を燃やしていることになる。

プルサーマル

MOX燃料を、軽水炉で使用すること。

プルトニウムとサーマルリアクタ(軽水炉)から出来た言葉。

核燃料サイクル

プルサーマルが可能になり、高速増殖炉が可能になれば、

使用済み核燃料から、使用した以上の核燃料を得ることが出来る。

これを、核燃料サイクルという。

高速増殖炉

中性子を減速させず高速のまま使用し、燃えないウラン238から

燃えるプルトニウム239を作る(増殖する)炉。

冷却材にナトリウムを使うが、ナトリウムは水と反応するので

非常に危険であり、他国は開発を中止した。

もんじゅ

高速増殖炉の原型炉。福井県敦賀市にある。

1991年に性能試験を開始したが、

1995年にナトリウム漏出事故を起こし停止した。

20105月に再開したが、同年8月の事故により停止している。

軽水炉

軽水つまり普通の水を減速材兼冷却材として使用する原子炉。

軽水は価格が安いので、最も多く利用されている。

沸騰水型と加圧水型がある。

沸騰水型軽水炉

原子炉内で冷却水を沸騰させ、その蒸気で直接タービンを回す。

熱交換器が不要なので、機構が簡単であるが、タービンおよび

タービンに出入りの配管まで放射能にさらされる欠点がある。

また、炉内上部には、気水分離機や蒸気乾燥機があるため、

制御棒は下からしか挿入できないのも問題である。

炉内の圧力は90気圧くらいである。

東北電力 東京電力 中部電力 北陸電力 中国電力が採用。

平成23年3月に、事故を起こしたのはこれ。

加圧水型軽水炉

蒸気発生器で蒸気を作り、それでタービンを回す。

タービンが放射能にさらされない利点がある。

ただし、原子炉および配管内の冷却水は沸騰させられないので、

炉の圧力が175気圧と高くなる欠点がある。

炉内上部には何も無いので、制御棒は上から挿入できる。

北海道電力 関西電力 四国電力 九州電力が採用している。

原子炉圧力容器

炉そのものを入れる容器。

直径5〜7m高さ20〜30mくらいある。

この中には、燃料棒 制御棒 冷却水が入っている。

改良型では再循環ポンプも入っている。

高温 高圧 放射線に耐え、科学反応を起こさないことが必要。

原子炉格納容器

原子炉圧力容器を格納する容器であり、圧力は3気圧くらい。

異常が発生したときに、放射能を閉じ込めるためのもの。

再循環ポンプが入っている。

福島第1発電所には2つの型があり、

1〜5号炉がマーク1、6号炉がマーク2型になっている。

マーク1

電球みたいな形をしており、下部にあるドーナツ型の圧力抑制室に

繋がっている。

マーク2

太目の一升瓶みたいな形をしており、下部に圧力抑制プールを持つ。

建物と一体成形されている。(と思われる)

圧力抑制室

圧力抑制プール

 

沸騰水型の格納容器と一体のもので、中には水が入っている。

緊急時には、圧力容器内の蒸気をこの中に逃がす。

逃がされた蒸気は、水により冷却され、水に戻る。

また、冷却水の補給源ともなる。

福島第一では、1号炉〜5号炉がこの型(マーク1)

燃料棒

燃料(ペレット)は直径1センチ長さ1センチくらいの円柱形を

しており、これを金属で包んでいる。

ペレットを金属のパイプの中に詰めたものが燃料棒であり、

燃料棒を8*8=64 本程度束ねたものが、燃料集合体である。

沸騰水型の圧力容器に装着する時は、燃料集合体を4本田の字型に

セットし、中央に十時型の制御棒を入れる。

制御棒

中性子を吸収する棒であり、臨界を止めるためのものである。

ただし、臨界が止まったとしても、

原子炉はアイドリング状態になっただけであり、

核分裂が完全に無くなった訳では無い。

平成23年3月の事故では、これの挿入は成功している。

崩壊熱

核分裂によって生成された元素は、非常に不安定であり

放射線を出しながら崩壊するため、高い熱を出し続ける。

よって、原子炉を止めても、冷却は続けなければならない。

平成23年3月の事故では、外部電源は停止し、非常用発電機も

津波により1時間しか持たなかった(燃料切れ?)ため、

大事故につながった。

燃料棒溶解

崩壊熱により燃料棒の一部が溶けることをいう。

冷却水の喪失により燃料棒が露出すると起こる。

これが溶けると言うことは、放射性物質が露出することであり、

放射能漏れにつながるため非常に危険である。

平成23年3月の事故では、ここまで進んだ。

大量の海水の注入により、メルトダウンだけは免れた。

メルトダウン

炉心溶融

燃料棒の大量の溶解のこと。

メルトダウンが起こると、大量の熱が1点に集中するので、

圧力容器も溶かしてしまう。

圧力容器の下には、冷却水があるので、水蒸気爆発を起こし、

大量の放射能が撒き散らされることになる。

スリーマイルの事故では燃料の45%62トンが溶解したが、

圧力容器は溶けなかったし、爆発もおきなかったので、

住民への被害はなかった。

チェルノブイリでは、水蒸気爆発と水素爆発を起こし

広島の400倍の放射能が撒き散らされ、

全世界に被害が及んだ。

使用済み核然料

プール

使用済みの核燃料を、一時保管するためのプール。

崩壊熱が出るので、冷却しながら保管する。

核分裂を抑えるため、制御棒も使う。のかな?

平成23年3月の事故では、ここに保管していた燃料棒でも

溶解が起きた。

水蒸気爆発

水蒸気が爆発的に発生すること。

冷却水に、溶けた燃料棒が大量に落下すると起こる。

男鹿の磯焼き(真っ赤に焼いた石で煮る鍋料理)と同じ。

または、高圧の水蒸気が、一気に放出されること。

圧力容器や格納容器に、水蒸気が溜まり過ぎると起こる。

平成23年3月の事故では、圧力容器から1回、格納容器から

3回、水蒸気を抜いた模様。

水素爆発

燃料棒が水蒸気中に露出すると、燃料棒を覆っている金属が

水から酸素を取って酸化するため、水素が発生する。

この水素が漏れると、どこかに溜り、何かのきっかけで爆発する。

平成23年3月の事故では、1号炉3号炉は燃料棒が原因で、

4号炉は使用済み燃料棒が原因で、原子炉建屋が爆発崩壊した。

核爆発

メルトダウンが起こっても、

ウランの濃縮度が低いので、核爆発は絶対に起こらない。

もし、燃料ウランで起こるようならば、どこかの国のように、

せっせせっせと濃縮する必要は無い。

放射能漏れ

放射性物質が、放射線被曝エリア外に漏れること。

原子力発電所では、ペレットの金属被覆 燃料棒の金属被覆 

圧力容器 格納容器 原子炉建屋と、5重にシールドされていたが、

それでも漏れた。

漏れたのは圧力容器と格納容器と思われる。

放熱のため大量の海水を、炉内に注入し、建屋に放水しているが、

この放射能を帯びた海水はどうなるのかな。

廃棄される 建屋 機材 原子炉は、どうやって処分するのかな。

放射性物質

放射能

放射線

放射性物質――運子です。臭い匂いの元です。

       元ですので、うっかり体に付けてしまえば

       いつも臭くなってしまいます。

放射能――――臭い匂いを出す能力の強さです。

       臭い運子もあれば、そうでない運子もあります。

       ちょっぴりの運子も有れば、山盛りもあります。

放射線――――臭い匂いです。

       近付けば臭くなり、離れれば臭く無くなります。

       匂いが強ければ、匂いが染み付いて、

       運子になる物も現われます。

放射能漏れ対策

放射能は、冷却水の蒸気とか、燃料棒の微細な破片が原因です。

よって、空気中の埃にも取り付いています。

いつかは、地面に落ちて、そこに留まります。

つまり、花粉と同じ動きをします。

よって、放射能対策は花粉対策と同じです。

1 吸い込まない  窓や戸を閉めて家にいる。

            換気扇は動かさない。

            外に出る時はマスクをする。濡らせばさらに良い。

2 体に付けない  帽子をかぶる

            すべすべした上着を着る

            雨に当らない

            家に入る時は、服の埃をはたく

            この時、埃を吸い込まないように気を付ける

            体を洗って、埃を流す。

3 食べない    地に落ちた放射能は植物に取り込まれる

            それを食べた動物にも取り込まれる

            水道水にも含まれる

今のところ、普通に生活しても、何ら問題はありませんし、

今後も、大丈夫と考えられます。

再循環ポンプ

静止している水の中では、燃料の熱が水にうまく伝わらないので、

水を強制的に動かしてやるためのポンプ。

扇風機と同じ。

非常用

炉心冷却装置

Emergency Core Cooling System(ECCS)

非常時に炉心(燃料棒)を冷却する装置。

たくさんの装置が備えられているが、ひとつを除き電気を必要とする。

原子炉隔離時

 冷却系

電気を使わない唯一の冷却設備。

原子炉を停止しても大量の蒸気は作り続けられるので、

その蒸気により非常用のタービンを回し、非常用タービンに直結した

非常用冷却水ポンプと、 非常用復水注入ポンプを回して、

炉心の冷却を行う。

非常時は、30秒以内に定格運転まで立ち上がる。

平成23年の事故では、2号炉3号炉ではこのシステムが働いたが、

1号炉では非常用復水器が働いたと発表されている。